2010年8月30日月曜日

井の中の蛙、大海を知る

彼は再び残暑厳しいハイウエイオアシスへと向かった。

ほぼ時間通りに着いてみると、そこにはすでに一時間も前からいるというカカカツゼツ君と セクシャルハードコアことイケタニ君が、これから楽しい所へ向かうであろう家族や恋人たちを寄せ付けない雰囲気で休憩所を占拠していた。
とっさに目をそらした甲斐無く
「あっ、トトトリーさーん久しぶりー!」
と発見されてしまった彼は
「あわわわぁ」
と力ない返事を返すほか無かった。
程なく、肘が痛いとの言い訳ばかりするこーちゃんと、初めて会ったオニャノコとでも○♯□で○△×を最低10分はするのだという腐れ外道ぶりとナイスボイスを併せ持つTKOマンが珍しく時間通りに現れた。

滑舌、性癖、外道、そして言い訳
男汁溢れる空気でひとしきりどんよりしたところで、そそくさとこーちゃんの新車に乗り込み、一路下呂へと向かう。
途中の山道、「ここら辺は山ん中なのになんでウナギ屋が多いんですか、トリーさん?」「神じゃないからわからん」と禅問答しているうちに岩があるという河原に到着した。

目的の岩へ向かう途中でウォミンガップを兼ねて日陰で登るという。
髪を切ってカッコ悪くなったと好評なカカカツゼツ君がこれ見よがしに上まで登ってみせる。
かぶった帽子もまた似合わないと好評を博した。
やる気はあるのに靴を忘れたというハードコア君は、代わりに自分の性癖について滔々と語り始め一同を置いてきぼりにした。
37になっても20半ばの青年から学ぶことも多い。
オサレ
ウォミンガップにも飽きたため、目的の岩にそそくさと移動する。
着くなり早速マットを広げ、独りストイックにクライミングに打ち込むTKOマン。
このスタイルは先週も見たのですぐわかったという。
その隣では神の再来。
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神もまたこれ見よがしに登ってみせるが、言うほどのことは無かった。
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いろいろなモノが見え隠れする中、あまりの暑さに移動を余儀なくされることとなる。

程よい日陰にある岩を見た彼はこう呟いた。
「これはいわゆる一つの得意系ってやつです。」
少しテンションの上がった彼は、早速マットを広げ得意の一生懸命を発揮する。
そう、彼はこの一週間を一生懸命のイメージトレーニングに費やしてきたのだ。
得意系だけあって程よく出来ない彼を尻目に、カカカツゼツ君はなぜだかムクムクと出来る男になってゆく。
「二ヶ月くらいクライミングやめると強くなりますよ」
と言い切る彼は、二手目までをヒタリヒタリと静的にこなし三手目のパシッビョーンでギリギリドサッしてしまうのを繰り返した。
パシッ、この後ビョーンドサッ。そんなことどうでもいいこーちゃんとTKOマン
程よく出来るカカカツゼツ君のおかげでけだるい空気になった為、なかば義務的に別岩へ移動する。
ようやく暗くなった頃、今の今まで所在が不明だった『やる気』をやっとのことで再発見したTKOマンの思いとは裏腹に、小虫の大群に囲まれて敢え無く撤退。

帰り道、いつもの料亭にていつもの反省会。
一日を振り返り、明日に活かそうとする彼らの姿勢に心打たれた料理長の
「大学生か?」
との訳のわからない質問に返す言葉も見つからない最凶軍団であったという。

2010年8月23日月曜日

一生懸命ですか。

一生懸命だったか否かの判断は、その結果がどうであったかによって判断されがちである。

彼は残暑厳しいハイウエイオアシスのベンチでぼんやり一人佇んでいた。
日曜の朝の高速道路は、これから楽しいところへ向かう家族や恋人たちで賑わっている。
若干の居心地の悪さをこらえつつ、のんびり朝マックを堪能しているであろう友人を待つ。

30分の遅刻の理由を、今回は「商品名もおぼつかないマック店員の不手際だ」と言い張る友人を無条件に受け入れる彼の大人な対応は特筆すべきものであったという。
その場に黒髪の乙女がいたならばきっと惚れていたであろう。

彼は岩登りに行くという友人の新車に便乗して岐阜県下呂市へと向かった。
彼の周りにはなぜだか岩を登る知り合いが多いのである。
「満場一致でDカップが理想ということです」とのどうでもいい議論結果を報告されつつ1時間ほど走った頃、岩があるという河原に到着。

すでに多くの若者が岩にピョンピョンと飛びついていたが、そんな若者たちを横目におもむろに大きなマットを広げて横になり目を閉じるキシスケ店長。
岩登り中のキシスケ店長

「ははん、こういうのも岩登りなんだな」と一を聞いて十を知る彼。
その横で「ウマイウマイ」を連呼しながらヨーグルトを食すこーちゃん。
「あー、岩の下でスイーツもまた岩登りか」と急速に知識を吸収する彼。
そうかと思えば自称がんばり屋さんは若者たちに交ざってピョンピョンやりだした。
「ふふん、あれも岩登りだな」

「一緒にやりませう。」と誘ってくる自称がんばり屋さんをしばらく観察していると、スイーツ明けこーちゃんがピョンをパシッしてガクガクっと登った。
どうやら一生懸命やればそれくらいは出来るのだという。 
称賛を惜しまない若者たちと対照的に死んだ魚のような眼をする自称がんばり屋さんを前に、彼は感情の表現法を見失ったという。
ピョンをパシッしたこーちゃん
つまらないものでも見るかのような眼の自称がんばり屋さんが懲りもせずピョンピョンしていると、さっきまでマットの上で一人岩登り中だったキシスケ店長が「ビクンッ!」と魚のように飛び起きてピョンピョンに加わってきた。
さすがに一人でストイックに岩登りに集中していただけあって程なくピョンをパシッ したがドサッした。
これには納得いかないらしく店長はすぐさまピョンをパシッしてフフフンと登った。
これもまた一生懸命さのなせる技だという。

飽きた様子のこーちゃんとキシスケ店長が各々マットの上で横になっての岩登りに夢中のなか、取り残された自称がんばり屋さんも何度かピョンをパシッしかけたが、最終的には「飽きて」やめた。
どうも諦めたわけではないようだ。
ピョンをパシッしかけた自称がんばり屋さん

努力に結果が伴わなかった自称がんばり屋さんは、こーちゃんとキシスケ店長の「一生懸命さが足りないんだ!」という罵詈雑言に死んだ魚の目をして呟いた。
「自分が一番がんばってたのに...。」
その場の全員が一様に飽きた様子になった為、別の岩へと移動することになった。
ピョンピョン岩で合流した強々さん夫妻とともに 岩ゴロゴロ地帯へ行くもずぐさま土砂降りになってビショビショになって撤退した。